安全で快適なフライトを支えるための高精度なエンジン整備

航空機の心臓部といわれるエンジンは、そのメンテナンスの仕方によって、エンジンの信頼性やエンジン整備にかかるトータルコストに差が出ます。エンジン整備は航空機の安全運航とエアラインの経営効率を高めるための重要なファクターです。ANAエンジンテクニクスでは、数万点の部品から構成されるジェットエンジンを、一つひとつの部品まで分解し、洗浄、検査、修理を行い、高い精度で再度組み立て高品質のエンジンを提供しています。

  • MORE INFO
  • MORE INFO
  • MORE INFO
  • MORE INFO
  • MORE INFO
  • MORE INFO
  • MORE INFO

ENGINE 取り扱い航空機エンジンのご紹介

01RECEIVING 搬入・受け入れ

機体から取り卸されたエンジンをエンジンメンテナンスビルへ

計画的に取り卸したエンジンや、不具合により取り卸されたエンジンはドーリーと呼ばれる運搬台車に積載され、エンジンメンテナンスビルに搬入されます。搬入後、エンジンをドーリーから特殊な専用クレーンで吊り上げて、受け入れ検査の準備が開始されます。

02CARRYING IN エンジン搬入・受入

整備内容に従ってエンジンをモジュールや部品まで段階的に分解

搬入されたエンジンは入念に点検され、飛行中のデータ解析と合わせて整備の内容が決定されます。決定された内容により、整備を必要とする部位(モジュール:整備単位)が取り外され、さらにEngine Maintenance Unitと呼ばれる単位に分解され、最終的に一つひとつの部品に分解されます。この過程を通して、私たちはこのエンジンがどの様な飛行をしてきたのかを知ることができます。

INTERVIEW 整備士インタビュー

チームの力を引き出せる そんな整備士が理想です 整備第2課 木村 謙介 2009年入社 航空専門学校卒業
同じ機種でもエンジンは
1台1台が違う表情を持っている。

航空機のエンジンは、同じような使用状況であっても劣化の仕方はすべて違います。一つとして同じということはありませんので、分解する側もそれに対応しなくてはなりません。例えばエンジンのどこかでオイルが漏れていたりすると、コーキングといって黒いスジが出てきます。ボルトにゆるみがあったりすると、ボルトとナットが機体にこすれて黒く粉を吹くこともあります。ある部分が変色していたら、なぜそこが変色しているのかを突き詰めて考えていかなければトラブルを解消することができませんので、そういった微妙な変化に気を使っています。

不具合の情報を自分たちから発信し
エンジンの品質を高めていく。

トラブルが発生したエンジンや、寿命に近づいたエンジン、あるいは分解してみなければわからないエンジンなど、様々なケースがあります。技術部門やメーカーから情報を取り寄せて「次はこうしよう」というアクションを起こして、同じ型のエンジンの不具合を未然に防ぐこともできます。知識や経験によってより多くのことが見えてきますので、そこがこの仕事の面白さであり、やりがいでもあります。今、私は世代的に中間的なポジションにいますので、若い整備士とベテラン整備士の架け橋でありたいですし、チームの力を引き出して自分が関わった仕事を確実に対処できるようになりたいです。そして周囲に影響を与えられる整備士として、自分のこだわりを先輩にも恐れずに意見でき、後輩からも意見を受け取れる、そんな整備士が理想です。

03CLEANING 洗浄

部品ごとに定められた洗浄方法で各部品を丁寧に洗浄

分解されたエンジン部品は、浸漬洗浄やスチーム洗浄など、部品によって定められた方法により丁寧に洗浄されます。洗浄は外観を向上させるだけでなく、次の検査の工程で傷を判別しやすくするために行います。

04INSPECTION 検査

苛酷な環境に耐えるパーツを厳しい基準に則って丁寧に検査

洗浄された一つひとつの部品を、目視・非破壊検査・寸法検査によって詳細点検し、再使用・修理・廃棄などの取り扱いを判断します。この判断は、エンジンの整備品質に大きな影響を与える重要な工程の一つです。また、この検査データを蓄積、分析することにより適切な予防整備を実施し、不具合の発生を未然に防止しています。

INTERVIEW 整備士インタビュー

検査を通して世界中の航空機の信頼性を向上させるアクションを 整備第5課 桺井 駿平 2013年入社 航空専門学校卒業
様々な検査方法を駆使して
厳しく部品を検査

検査工程では、洗浄された部品に対して非破壊検査、目視検査、寸法検査を行って修理の必要性を判断します。非破壊検査では特殊な薬品や装置を使って、部品を破壊することなく傷やクラックを検査します。目視検査は自分の目で見て、部品を指で触って傷やへこみを感じたり、部品を回転させて音の鳴り具合で部品の状態をチェックしたりすることもあります。五感を使った検査は集中力が必要で、かなり神経を使う作業です。エンジンの部品は数万点ありますから根気も必要です。

厳しい精度と情報発信で航空機の信頼性を向上させる

エンジン部品の寸法は、メーカーによって定められた規定値内に収まっていなくてはなりません。3次元計測器で部品を測定しますが、その精度は1/1000インチ単位、部品によっては1/10000インチ単位の精度になります。金属の部品は手に持っているだけでも体温で膨張して数値が変化するほどです。温度・湿度を一定にした測定環境で細心の注意を払って検査しています。検査工程では情報発信も重要な仕事のひとつです。見つけた不具合は生産技術部門を通してエアラインやメーカーに発信します。自分が発信した情報によって、ANAだけでなく世界中の航空機の信頼性の向上につながります。そういったアクションを起こせたときはとてもやりがいを感じます。

05REPAIR 修理

機械加工や溶射など、高度な技術で部品の形状や性能を回復

1,000℃以上の高温に耐える燃焼室。数万ポンドの推力を発生するファンブレード。過酷な環境にさらされた様々なエンジン部品は、プラズマ溶射や溶接、機械加工、接着などにより、1/1000インチ単位の精度で形状、性能の回復を行います。

06ASSEMBLY 検査

エンジンの品質を支える高精度な組み立て作業

検査に合格した数万点に及ぶ部品を様々な設備を使用し、高い精度で組み立てます。1万回にも及ぶ飛行に耐え、高いパフォーマンスを発揮するエンジンの基本品質が作り込まれます。再び組み上げられたモジュールは、特殊なクレーンを用いて結合されます。その後、外部チューブやダクト等の取り付けを行い、最終的に1台のエンジンとなります。この一連の組み立て作業はエンジン品質を支える非常に重要な工程です。

INTERVIEW 整備士インタビュー

ボルトの締め方ひとつにも経験と技術が求められる 整備第4課 池ノ上 大樹 2013年入社 高等専門学校卒業
エンジンの組み立ては
お客様の快適なフライトに直結

組み立てで最も難しいのはバランスです。エンジン内部で高速回転する筒状のものですから、高い精度で組み上げられていないと回転した時にエンジンに振動が発生したり、遠心力で膨張した時に内部でローターが擦ったりしてしまいます。エンジンの性能や寿命に影響するだけでなく、漏れたオイルの臭いが機内に入り込んでしまうと快適なフライトの妨げにもなります。エンジンを組み上げてからでは手を入れることができないため、状況によってはエンジン取り卸しなど、お客様に多大な迷惑をかけることになりかねません。だからこそ慎重に作業しています。

ミスが許されないシビアな作業を
チームワークで乗り越える

エンジンの組み立て精度の厳しさは、ボルトの締め方ひとつにも表れています。エンジンについているたくさんのボルトを、バランスよく段階的に力をかけながら締めなくてはなりません。無理な力をかけたり、片寄った締め方をしたりすると全体の重心がずれてしまいます。素材の性質や部品の構造などを知り尽くした経験豊富な整備士でなければできない高度な作業です。こうした繊細な作業を一つひとつ積み重ねていきますので、一人が確認した後に別の人間が必ずチェックを行います。一人ひとり自分が“最後の砦”という意識で取り組んでいますが、チームでお互いに助けあって情報を共有し、コミュニケーションをとりながら作業します。仕事中は常に集中力を切らさずに、先輩方の技量を自分のものにできるように取り組んでいます。

しっかり基礎を身につけて自分のスタイルを作っていきたい 整備第3課 池畑 有佳 2016年入社 高等専門学校卒業
高専時代からあこがれていた
ジェットエンジンの世界へ

高専時代からジェットエンジンやロケットエンジンに興味があったので、ANAのインターンシップに参加した際にこの会社を知りました。自分のやりたいことがそのままここにあったので、自分もジェットエンジンに関わる仕事をしたいと思って志望しました。男性の多い職場ですが、高専時代から同じような環境でしたので、特に不安はありませんでした。ただ、力の面や、男性の多い中で自分らしさを出していけるか、そういった面での不安はありますが、先輩方が支えてくださっているおかげで頑張っています。

目標は、多くの資格を取得して
整備士として自分らしさを出せること

まだ作業にも慣れていませんが、私の場合は力が足りないこと、身長が足りないこともあるので、同期の人よりもさらに工夫をしなくてはならないと思っています。先輩方が私のために専用の作業台やステップを準備していただき、車輪を取りつけて楽に移動できるように工夫がなされています。作業用の手袋も私の手のサイズに合わせて専用の手袋を探していただくなど、様々な面でサポートをしてくださっています。それに応えるためにも、資格取得を目指してしっかり基礎を身につけたいと思っています。機種ごとのモジュール資格をたくさん取得して整備できるようになることが目標です。私にはいろいろな面でハンデがありますが、そのハンデを超えてしっかりと自分のスタイルを作りたいと思います。

07TEST RUN 検査

組み立てられたエンジンを試運転で性能確認

組み立てられたエンジンは、テストセル(試運転施設)に搬入されます。ここでは、エンジン整備の最終工程として組み立てたエンジンを実際に運転し、何百点ものデータを採取します。細部にわたるエンジン性能が確認された後、エンジンは再び大空へ飛び立っていきます。

INTERVIEW 整備士インタビュー

エンジンは熱い“生き物”それを実感できる職場です 整備第1課 田頭 由樹也 2017年入社 航空専門学校卒業
創り込まれ、完成したエンジンも
回してみないとわからないこともある

試運転はエンジン各部の機能確認や、推力・応答性などの性能確認を行う工程です。エンジン内部の状態を計測するセンサのデータを制御室でチェックしますが、数値だけではなく匂いでチェックしたり、エンジンの音をチェックしたり、五感を使って不具合を発見する場合もあります。それにはやはり経験や知見が役立ちます。チェックランの場合、テストするエンジンは既に整備されたものですが、実際に回してみないとわからないこともあります。エンジン整備の最終工程として責任感を持って行っています。

自分の手がけたエンジンが
機体に搭載されて飛んでいく充実感

小型のエンジンであれば一日目に試運転をして復旧し、2日目で出荷することができますが、大型のエンジンは3日ほどかかります。トラブルシュートランの場合は不具合を是正するための試運転ですので、不具合があればさらに何日もかかることもあります。エンジンはある意味“生き物”だと思います。今まで冷たかったエンジンが、ここに来て初めて火がついて動くわけですから、機械としてのモノづくりだけではない、エンジンの熱さを感じることができる職場です。こちらが示したものに応えてくれる、“生き物”のように思えることがあります。だからこそ自分の手がけたエンジンが機体に搭載されて無事飛んでいくときは、本当にやりがいを感じます。

ENGINE COLLABORATION エンジンコラボ

ライン整備の現場でエンジン整備のスキルを発揮

夜勤帯の羽田空港に高い技術を備えたエンジン整備士を派遣し、機体に搭載されたエンジンに対する技術的なサポートを行っています。機体での的確な整備作業による作業量の低減、運航支援性の向上や取り卸し精度の向上を目的として、定例作業や不具合対応への技術アドバイスを実施。エンジンの品質維持とANA便の運航支援に貢献しています。

ページTOPへ